梨子さんとレストランへ向かう途中の階段で

「わっ？！」

　という小さな叫び声と共に、腕を掴まれた。

　それと同時に、柔らかな感触が腕に触れ、身体がドキッと反応した。

「ご、ごめんなさい……！」

「あ、いえ……。大丈夫ですか？」

「は、はい。大丈夫です」

　恥ずかしそうに、眉をハの字にし

「トランクスさんがいてくれなかったら、落ちてました……。ありがとうございます」

　梨子さんはホッとした顔と共に礼を言うと、階段の続きを慎重に下って行った。

　

　食事を終え、部屋に戻った俺は

「柔らかかったな……」

　すぐさま先程腕に触れた、柔らかくも弾力のある感触を思い出し、感想を述べていた。

　はじめて触れたあの感触に、身体がじんわりと熱を帯びていく。

　だが、すぐに我に返り

「な、何を考えてるんだ俺は！？」

　ブンブンと頭を左右に振ると、滲み出て来る煩悩を必死に振り払った。