「空を飛べるっていいですねー」

　バルコニーから、空中で手合わせをするベジータと孫君を見て、梨子ちゃんが羨ましそうに呟いた。

　そんな梨子ちゃんに共感して

「ホントよねー。出来るものなら、私も飛べるようになりたいわ」

　空中に消えては現れる、ベジータたちを横目に見ながら、コーヒーを啜ってると、トランクスが二人並んで、バルコニーに入って来た。

「お疲れさま」

　重力室で、トレーニングをしてた二人に声をかけると、二人は空中で対峙してるベジータと孫君の方に視線を向けてから

「父さんたちは、まだ終わりそうにないですね」

　大人の方のトランクスが、苦笑いを浮かべた。

「いつものことよ。ま、気が済むまでやってくれたらいいわ」

　やめろって言ったところで、言うことを聞くような二人でもないから、諦め口調でそう言ってから、また、コーヒーを啜りはじめると

「いいな～。空を飛べるとか、夢だよね」

「私は飛びたいとか思わないな」

「え、何で？　自由に空を飛べるなんて、人間の夢だよ？」

「まぁ、そう思ってる方が多数派だろうけど。私はいい」

「マコちゃんて、ホント天邪鬼だよね～」

　そんな会話が、バルコニーの手摺の方から聞こえてきた。

　すると、それを聞いてた、大人のトランクスが、手摺の方へ歩いて行き、突然、ヒョイと梨子ちゃんを抱え上げた。

「キャッ！」

　いきなり抱えられ、驚く声をあげる梨子ちゃん同様、トランクスの行動に、私たちも目を丸くしてると

「空を飛びたいなら、飛んでみようか」