「凄く綺麗な音楽だったよ。俺もまた聴きたいな」

　そう言って微笑むトランクスさんを思い出して、私は一人、ベッドに寝ころびながら、溶けそうになってた。

　夜ごはんを食べてる時に、ピアノの感想を言ってくれた、トランクスさん。

　まさか、トランクスさんに見られてるなんて知らなくて、演奏が終わった後、庭にトランクスさんがいたことに気付いた私は、恥ずかしくて、穴があったらダッシュして、そこに逃げ込みたいくらいだった。

　だって、昼間の演奏は、自分では満足した演奏じゃなかったから……。

　でも、トランクスさんは優しく微笑んで、ピアノを聴いた感想を言ってくれて、しかも「また聴きたい」って、言ってくれた！

　じゃあ、次は、もっと最高の演奏を聴いてもらいたい！

　ヤル気スイッチを、見事に押された私は

「よーーし！　明日から、しっかりピアノの練習するぞーー！！」

　ベッドから、跳ねるように起き上がり、机の横に置いてある、通学鞄の中から、練習中だった楽譜を取り出した。

　難しいから、あまり気が乗らなかったけど……この曲を練習しよう！

　そして、納得のいく演奏が出来るようになったら、その時、トランクスさんに聴いてもらおう！

　私は胸に誓うと、椅子に座り、真剣に譜読みをはじめた。