「梨子ちゃん！」

　って、私の名前を叫ぶ声が聞こえた次の瞬間、誰かに抱きしめられるのと同時に、辺りを突然暴風っていうくらいのブオォォッ！　っていう風が吹き抜けていった。

　あまりの風の勢いに思わず目を閉じて、庭の木がしなる音や葉っぱがバサバサ騒ぐ音、空気が渦を巻いてるような音が一気に通り過ぎていくのを聞きながら

　キャーッ？！　何ー？！

　って心の中で叫んでると、私を抱きしめてる腕の力が少しだけ強くなった。

　すぐに暴風っていうか……爆風？　は収まったけど、何が起こったのか分からなくて、警戒しながらそーっと目を開くと、目の前に明るい青色の布地が飛び込んできて、慌てて顔を上げると、そこにトランクスさんの顔が間近にあってドキッ！　とした。

　さっきの爆風から、トランクスさんが守ってくれたんだって理解して、感謝の気持ちが込み上げてきたけど、それと同時に抱きしめられてることに恥ずかしさが込み上げてきて、段々体温が上がっていくのを感じてると

「大丈夫かい？」

　カッコ良すぎる顔が覗き込んできて「は、はい！」って答える声が上擦りそうになった。

　だって、だって！

　こんな男前な顔が目の前に……！　しかも、抱きしめられてるんだよ！？

　ヤバイ！　ヤバイよね！

　こんなことされたら、好きになっちゃうって！！

　なんて一人ドギマギしながら、凛々しい顔を見つめてると、トランクスさんは私を逞しい腕から解放しながら　

「父さん、悟空さん！　気を上げる時は気をつけてください！！」

　庭の上空にいるベジータさんと悟空さんに向かって声をかけた。