「おはよう、トランクス君！」

「……おはよう」

「これから学校だよね。行ってらっしゃい！」

「……行って来ます……」

　にこりと笑って、小さく手を振る梨子ってヤツの横を通り過ぎながら

　……苦手だ。

　そう思った。

　別に女の子が苦手ってわけじゃない。

　ああいう愛想のいいヤツが苦手なんだ。

　学校に行けば、あんなふうに、俺に媚びるように寄って来る女子ばっかりで毎日うんざりする。

　俺の……男の前でだけ、そんな愛想を振りまいたって無駄なんだよ。

　俺がそんなヤツ等の本性を分かってないなんて思ったら大間違いだからな。

　俺は他の男みたいに、そんな表面だけの愛想良さに騙されないぞ。

　そんなことを思いながら、学校の女子たちと接する度に、俺はマイちゃんを思い出しては逢いたくなった。

　飾ることも、何の遠慮もなく、言いたいことをストレートに言ってくるマイちゃん。

　いつも自然体で、マイちゃんといると俺も自分でいられた。

　マイちゃんに逢いたい……！

　強く思うけど、マイちゃんの行方はまだ分からないまま、もうすぐ一年が過ぎようとしてる。

　きっと……必ずマイちゃんは戻って来る！

　俺は心の中でマイちゃんが帰って来る日を強く願いながら、朝の澄んだ空の中を突っ切り、今日も学校へ向かった。