俺が過去の世界に来るのは、今回で四度目になる。

　そして、この過去の世界に来る度に、俺は驚かされてきた。

　一度目は超サイヤ人になった悟空さんの強さ。

　二度目は、人造人間１９号２０号１６号、セルの登場。そして、俺の世界とは違う人造人間１７号１８号。

　三度目は、父さんが家族を大切に思うようになっていたこと。

　そして、四度目の今回は――。

「大きいおにいちゃん、絵本よんで」

　俺の世界にはいなかった、ブラという妹が存在することだ。

　二年前、ブラックとの死闘を終えた後に誕生した妹。

　母さんによく似ているこの妹は、当然だがみんなから大切にされていて、特に父さんは可愛がっているらしく、妹を抱きかかえている姿をよく見かける。

　それに、食事や寝かしつけ、オムツの替えなども父さんは積極的にしているらしく「信じられないでしょ？」と言って母さんは笑っていた。

　俺の世界にはなかった家庭の温もり。

　それがこの世界にはあった。

　それを羨ましく思うと同時に、俺の胸の中に新たな思いが生まれた。

　それは、ようやく手に入れた平和な世界で、俺もこの温もりを築いていこうという思いだ。
　
　この世界では使うことが出来ない携帯電話を手に取り、そこに保存してある写真を眺めた。

　そこに映る、新しい家族。

　その写真を見る度に、自然と笑みが浮かび自分がいるべき世界が恋しくなる。
　
　未来の世界に帰ったら、俺も父さんのようにマイと我が子にたくさんの愛情を注ごう。

　俺はそう心に誓うと、今日も愛しい家族のことを思いながら眠りにつくのだった。