今日もまた、この広過ぎる家の中で迷ちゃって、廊下でキョロキョロしてると

「梨子ちゃん、どうかしたのかい？」

　後ろから優しくて爽やかな声がした。

「あ……トランクスさん。えっと、服を借りようと思って衣装用の部屋に行こうと思ったんですけど……迷ってしまって」

　あはは。と苦笑いに近い照れ笑いを浮かべると

「ああ、２９号館だね。その部屋ならこっちだよ」

「あ、す、すみません！　ありがとうございます……！」

　トランクスさんは優しく微笑むと、私を連れて衣装用の部屋に向かって歩きだした。

「あの、すみません……。いつも案内してもらって……」

「いや、この家は広いから覚えられないのも無理ないよ」

　こんなふうに、私は毎日のように家の中で迷っては、トランクスさんに助けてもらってた。

　何故か分からないけど、迷ってる時にいつも出会うのがトランクスさんなんだよね……。

　それがかなり恥ずかしくて

　いい加減、この家の中覚えなきゃ……。

　って、トランクスさんの後をついて行きながら反省しつつも

　でも……こんなカッコイイ人とお近づきになれるなら、迷子になるのも悪くないかなぁ。

　なんて思いが毎回頭の中を過って、なかなかこの家の中を覚えられない私だった。