「い、いいです！　待ちます！！」

　梨子ちゃんは、興奮した嬉しそうな笑顔を見せた。

　ふふ。そんな可愛らしい笑顔を見せられたら、これは気合を入れて早くピアノを探さなきゃいけないわね！

　そう思って、記憶を更に遡ってると

「そう言えば、ブルマさんも梨子に用があったんじゃないですか？」

　真琴ちゃんに言われて、本来の用事のことを思い出した。

「ああ、そうなのよ！　トランクスから聞いたんだけどね、梨子ちゃんてすごく歌が上手なんでしょ？　だから、私も聴かせてもらおうと思ったのよ！」

　そう言った瞬間、梨子ちゃんの笑顔は固まっちゃった。

　あら？

　どうしたのかしら？

　不思議に思ってると

「アハハッ！」」

　真琴ちゃんが可笑しそうに笑いだした。　

　ワケが分からなくて

「え、ちょっと何？　どうしたの？」

　目をパチパチさせると

「いやいや。何でもないです。梨子、ブルマさんもあんたの歌聴きたいってさ。よかったじゃない！」

　にんまりと意地悪っぽく笑う真琴ちゃんに、困ったように眉を下げて

「えぇぇ……」

　と、梨子ちゃんは情けない声をあげた。

　その明らかに嫌がってるようすに、悪戯心がくすぐられて

「ふふっ！　じゃあ、ピアノの調律が終わったら、ピアノと歌とギターも披露してもらおうかしら？」

　そう言ってにんまり笑うと、梨子ちゃんは今度は悲鳴みたいな声をあげた。