おい……。

「疑ってた」だ……？

　自然と眉がピクリと動くと

「『舞空術』っていうんだよね？　実はこの前、べジータさんと悟空さんが組み手してる時に見せてもらったんだ……」　

　申し訳なさそうにする顔に、今度は口の端がピクリと動いた。

　おいおいっ！

　俺は「初めて見る」んだと思って、わざわざ貴重な休みの日に、時間を割いたんだぞ……！

　何だよ！

　初めてじゃないのかよ！！

　あのリアクションは「初めて舞空術を見た」ってリアクションじゃなかったのかよ！！

　思わず眉を寄せると

「前に約束したのに、あんたなかなか見せてくれないし。それに、修行とかしてそうにないから、出来ないんだと思って」

　そう、さらっと言った後

「でも、疑いは晴れたわ」

　納得したらしい真琴の顔に、顔が引き攣った。

　くそっ……！　

　何だよソレ……！

　何か言い返してやりたいけど、それは躊躇われて、吐き出したいイライラとモヤモヤを我慢してると

「疑っちゃって、ゴメンね……」

　眉を下げる梨子に

「でも、ホントに舞空術ってスゴイね！！」

　羨ましくてたまらない！

　そう言わんばかりの羨望の眼差しを向けられて、胸に渦巻いてた黒いモノは萎んでいった。

　そんな顔を向けられると、悪い気はしない。

　引き攣ってた表情を緩めると

「ねぇねぇ！　次は気弾見せて欲しいな！！」

　手を合わせるキラキラした顔に

　……やっぱり、変わった奴だな。

　ポツリと思いながら

「いいけど……」

　と、答えてた。