舞空術を見せると、一人は「スゴーイ！」と目を輝かせ、もう一人は口をポカンと開けていた。

　まぁ、このリアクションは俺の予想通りだ。

　舞空術を初めて見て、驚かない奴なんてまずいない。

　人間が「空を飛ぶ」なんてことは、有り得ないって思われてるから。

　だから、真琴の反応はごく普通だ。

　ただ、梨子の方はやっぱり違った。

　この「地球」に来たことでさえすんなり受け入れた人間は、舞空術を見せたくらいではやっぱり驚かない。

　……一体どういう神経してんだ？

「夢見がちな子なんで」

　って、真琴が呆れたように言ってたけど、それだけじゃ済ませられない気がする……。

　ただの変な奴なのか？

　それとも……スゴイ奴なのか？

　考えてみたけど、この一週間見た限りじゃ、後者じゃない。

　見ず知らずのこの「地球」で緊張感もなく、毎日をゆるーく過ごしてるようにしか見えない人間を、スゴイ奴とは到底思えない。

　そんなことより。

　あーあ。

　何で俺が貴重な日曜の昼間に舞空術を見せなきゃならないんだよ……。

　こんなの、俺じゃなくてもいいだろ……。

　前にした約束のことを後悔しながら、空にとどまってることが馬鹿馬鹿しくなり、俺は一度空を仰いでから地上へと下りた。



「スゴイね！　トランクス君も本当に飛べるんだね！！」

「ホント！　あんたもちゃんと飛べるんだ。見直した」

　ん？

「も」？

　眉を寄せると

「あ……。えっとね……トランクス君は出来ないんじゃないかって疑ってたの……」