写真の説明をしてたら、すっかり夕食の時間になってて、何だかすごく疲れちゃった……。

　あまり食欲もなかったけど、とりあえず夕食を食べると私はすぐに部屋へ戻り、鞄からイヤホンを取り出した。

「ハァァ……やっと聴ける」

　音楽を聴くのが日課になってる私にとって、音楽の無い生活がよく五日も続いてたなって思う。

　イヤホンを耳に付けるとベッドに寝転がり、
音楽が無かった五日間を埋めるように、流れてくる歌を口ずさみ続けた。

　何曲唄ってたか分からないけど、ふと窓の外を見ると、黄色がかった月が見えた。

　その月を眺めながら、またしばらく何曲か唄ってると、段々心がざわついてくるのが分かった。

　なんて言うのかな……？　

　そう……！　興奮してきたって感じ！
　
　この興奮の原因――。

　それは自分が一番よく分かってる！

　私はベッドから起き上がると、ギターケースを持って部屋を飛び出した。

　

　夜も温暖な西の都を羨ましいなーって思いながら、私は広い広い庭の奥で見つけた洋風の四阿（あずまや）……「ガゼボ」って言うらしいんだけど、そこにやって来た。

　理由は一つ。

　ギターを弾くため。

　ブルマさんの家は広いから大丈夫だとは思うけど……やっぱり余所のお家だし、音のマナーには気を遣っちゃう。
　
　だから、この前散策をしてる時に見つけたこの場所でギターを弾こうって思った。

　白いアーチ型の屋根の四阿は、森の中みたいな暗い庭で浮かび上がって見えた。

　湾曲してる壁に沿ってつけられてる白いベンチに座ると、まず指のストレッチを始めた。