トランクスさんは孤独だ……。　

　そして、これからも未来の世界を守るという重圧を、たった一人で背負っていかなければいけないのだ……。　　

　トランクスさんから滲み出る憂いの理由が分かり、私は同情する一方で、その運命を受け入れ、誠実に生きているトランクスさんに尊敬と憧れを抱いた。

　どうして、そんな過酷な境遇の中に居て立っていられるのか――。

　母親であるブルマさんの育て方か？

　持って生まれた、本人の意志力か？

　そのどちらもか？

　いずれにせよ「平和」とは程遠い過酷な環境で育ったからこそ、あの人はこの「平和」な世界で暮らしているトランクスとは違うんだということに納得した。

　それは、きっと私たちの国でいうところの「戦国時代」を生きていた人間と、現在の平和な時代を生きている人間との差みたいなもんだろう。

　そして、この差は大きい。

　特に内面的、精神的に。

　当たり前だが、命懸けの毎日を送っていた人たちと同じ強さを、平和な毎日を生きてる現代人の私たちは持つことが出来ない。

　私がトランクスさんに憧れを抱くのは、戦国武将に憧れる現代人と同じ感覚だろう。

　命懸けの日々を生きてきたトランクスさんだからこそ、自然と武士のように「勇気」「正義」「礼」を持ち合わせた人物に仕上がったんだろう。

　私たちのような、現代日本人が時代と共に忘れ去ってしまったものを、持つことが出来たんだろう。

　こんなことを言うと、梨子に「また……」と呆れられるだろうけど。

　だが、私はこの日からトランクスさんの生き様に好感を抱き、そして敬うようになったのだった。