同じ顔だけど何か違う。

　そもそも歳が違うから「違う」のは当然なんだろうけど、二人の「トランクス」は根本的に何か違う気がした。

　それは、ちょっとした言動や雰囲気に表れていて、私たちと歳の近い「トランクス」は、それはそれは普通に同年代の男子だった。

　朝、ダルそうに学校へ行き、帰って来たら部屋に籠り、携帯電話を片時も離さない。

　お金持ちのお坊ちゃんらしく、さりげなく洒落たイイ物を持ってるし、本人のセンスもいいんだろう、服も洒落たものを着ている。

　見た目も良いから、学校ではさぞモテるだろう。

　だが、両親を「パパ」「ママ」と呼び、何かと面倒なことを避けている様子がこの数日でも目につき、会って間もないが、私はトランクスに「残念な男子」というレッテルを密かに貼りつけた。

　しかし、そんなトランクスに比べて、未来から来たというトランクスさんは、真面目・誠実・優しさを持ち合わせた好青年だった。

　目上の人や両親にまで丁寧に接し、ブラちゃんの相手をしてる時はそれは優しい笑顔で相手をしていた。

　それに、ここに来て何日か経つと、彼の考えるよりも先に身体が動いてしまうらしい場面を何度か目にすることもあり、そういう人なんだと納得すると、抱えられたことに対しての憎らしさも薄らいでいった。

　そんな、凛々しさと清々しさを持ち合わせた若武者のようなトランクスさんだが、ふと、憂いを帯びた表情を見せることがあった。

　それこそ、もう一人のトランクスとの一番の違いで、その憂いの理由が分かったのは、ここに来て四日目の昼のことだった。