一応励ますつもりでそう言うと

「一人の方がよかったです」

　真琴ちゃんは不機嫌そうに言うと紅茶を啜った。　

　するとすぐに

「えっ、何で？！！　私はマコちゃんと一緒でよかったって思ってるのに！」

　肩に少しかかるくらいの栗色の髪を揺らして、梨子ちゃんは驚いた顔を真琴ちゃんに向けると、真琴ちゃんは顔を顰めながら

「あんたが一緒だと、ストレス溜まんの」

　長い黒髪を耳にかけ、大きく深い溜息を吐いた。

「ひどい！　ストレスが溜まるってどういうこと！？」

　梨子ちゃんが、ショックを受けたような声をあげると、真琴ちゃんは眉を寄せ

「この状況を楽しんでるあんたにイラっとするの！　普通なら泣きたくなるとこでしょ？！！　なのに、何であんた平気なの？！」

　真琴ちゃんはそう言うと、最後にドン！　とテーブルを叩いた。

　……まぁ、真琴ちゃんの言ってることが正論かもね……。

　私が二人と同じ十七歳の時にこんな状況に陥ってたら、間違いなくパニックだったはずだもの……。

　テーブルを叩く音で、料理に夢中になってた男たちも二人の様子を窺いはじめ、喧嘩でも始まりそうな空気の中

「だって帰れるんでしょ？　だったら、この超レアな体験を楽しまなきゃ！！　こんな体験、二度と出来ないよ？」

　思いもよらないことを口にした梨子ちゃんに、さすがの私もポカンとしちゃった。

　……この子、ちょっと……いえ、だいぶ変わってるわ……。