この地球だってちゃんとあるのに……。

　この地球の人たちだって、ちゃんと生きてるのに……！

　この地球の存在を、きっと信じてもらえないことが残念で悔しかった。

　そんな切ない気持ちで、トランクスさんを囲む人の輪を見つめてると

「じゃあ、本でも書く？　この地球で私たちが体験したこと書けば、私たちの地球でも知ってもらえるんじゃない。まぁ、フィクション扱いにはなるけどね」

　マコちゃんは肩を竦め、冗談ぽくそう言った。




「それじゃ、向こうの私たちによろしくね！」

「はい！」

「今度来る時は、マイと孫も連れて来てよ」

「はい……！」

　ブルマさんの言葉に、トランクスさんが照れたように笑うと

「べジータもじいちゃんになったんだなぁ」

　悟空さんは茶化すように笑った。

　そんな悟空さんの言葉に、ブラちゃんを片手に抱え「まぁな」って答えるべジータさんは、少し嬉しそうに見えた。

　そんなやり取りを見ながら

　そっか……「マイさん」ていうんだ……。

　トランクスさんの大切な人をリアルに感じて、最後の最後にとどめを刺された気がした。

　どう頑張っても、未来の世界に覆せない存在がいることに、心が軋んだ。

　トランクスさんの目に、私は特別な存在として映ることはないんだ……。

　そう思うと、虚しくて、切なくて、寂しくて……。

　身体にぽっかり、穴が空いたように感じた。

　そしてその穴は、私を空っぽにして、内側からグシャリと崩そうとしてきた。

　だから……。

　だから、私はそれに耐えるように、自分を保つために……両手を強く握り締めた。