そんな寂しそうな顔で、そう言われると、さすがに胸が詰まる。　

　確かに、この二人とは多少仲良くなったわけだし……会えなくなるのは、正直寂しい気がした。

　第六宇宙に帰ったら、もうこの二人と会うことはないんだよな……。

　ポツリ思ってると

「俺も、梨子ちゃんと真琴ちゃんに会えてよかったよ。二人からは色々なことを教わったからね」　

　お兄ちゃんはそう言って、にこりと微笑んだ。

　そんなお兄ちゃんを見て、素直に羨ましいと思った。

　同じ俺なのに、正直に、自分の気持ちを言葉に出来るお兄ちゃんが、羨ましい。そう思った。

　俺も、言えたらな……。

　……言えたら？

　……何て？

「会えてよかった」？

　いやいや……。

「寂しくなるな……」？

　違う違う。

「また会いたい」？

　そ、それも違う！

　自分の言いたいことが定まらず、グルグルと頭の中で言葉を探してると

「どう、最後の晩餐は楽しめてる？」

　ワイングラスを持ったママが、ふらりとやって来た。

　ほろ酔い気味のママの登場に、嫌な予感が過ぎり、顔が自然と強張った。

　何故か、俺が梨子に気があるふうに思ってるらしいママが、余計なことを言うんじゃないかと不安になる。

　梨子が明日帰るって時になって、妙な誤解だけはされたくない……！

　ん……？

　待てよ……。

　……って言うか、気があるのは俺じゃなくて……梨子の方……だよな？

　正面に座る梨子に視線を向けると、やはり寂しそうに微笑む顔が目に映った。