「梨子ちゃんはピアノだけじゃなくて、ギターに歌だって上手じゃないか。凄い才能だと思うよ」

　微笑んでるけど、トランクスさんのその目は真剣だった。

　私は何て言えばいいか分からず、ただ頬っぺたの辺りが熱い。なんて思いながら、トランクスさんを見つめてた。

　青くて深い、まるで海みたいな目を見つめてると、マコちゃんが

「あの人は、武士みたいな人だよ。何があっても、諦めずに進み続けた兵（つわもの）だよ」

　って、唸るように言ってた意味が、少しだけ分かった気がした。

　だって、こんなに目に力がある人に会ったことないんだもん。

　その綺麗な青い目は、私なんかが想像出来ないくらい、たくさんのものを映してきたんだろうな。

　だから、あんなに優しくて深みがあるんだ。

　そう思うと同時に切なくなって、胸の奥がツンと痛くなるのを感じてると

「音楽が日常にある世界っていうのは、本当に平和で豊かな世界なんだろうな。梨子ちゃんのピアノを聴くと、俺の世界もそんな世界にしたい……改めてそう思ったよ」

　そう言って微笑むトランクスさんからは、強い意志みたいなものを感じた。

　私はテーブルの上に置いた手を握り締めると

「大丈夫です！　トランクスさんの世界も、そんな世界に絶対なりますよ！！」

　トランクスさんを真っ直ぐ見つめて、願いを込めるように口にしてた。

　すると、トランクスさんは表情を柔らかくして

「ありがとう、梨子ちゃん。そうだね。そんな世界にきっとしてみせるよ」
　
　にこりと笑顔を浮かべた。