「おはようございます」

　レストランに入ると、みんなはもう朝食を食べ終わる頃だった。

　だよね……。

　とっくに八時回ってるもんね……。

　今日も、うっかり二度寝をしてしまった自分が恥かしくて、みんなの「おはよう」の挨拶の中を小さくなって進みながら、マコちゃんの正面の席に座った。

「おはよう……」

「おはよう。今日も二度寝？」

「うっ……。うん……七時前に起きたんだけどね……」

「学校がないからって……たるんでんじゃない？」

　呆れたような視線を向けられ、返す言葉もなく黙ってると、目の前に朝食のプレートが運ばれてきた。

　マコちゃんの視線から逃げるように、ウエイターさんに「ありがとうございます」と小さく会釈して、そのままトレイに視線を移した。

　わぁ、美味しそう！

　今日もホテルみたいな朝食に、テンションが上がって、自然と笑顔になる。

　クロワッサンにポタージュスープ、グリーンサラダにオムレツ、ソーセージ！

　それに、デザートのプリン！

　和食中心の我が家では、なかなか食べることが出来ない朝ごはんに、私は毎朝感動してた。

　早速フォークを持って、サラダに手を伸ばすと

「あんた、今日も暇でしょ？」

　ティーカップを持ち上げながら、マコちゃんが聞いてきた。

「も。って……。私だって、毎日ピアノとギターの練習したり、勉強だってちゃんとしてるんだよ」

　ムッとして言うと

「神様がね、あんたのピアノ聴きたいんだって」

　マコちゃんは私の言い分を無視するように紅茶を飲み込むと、小さく息を吐いた。