「梨子ちゃんなら、中庭にいたわよ」

　楽しそうな顔で渡されたカプセルを手に、俺は昼食を食べ終えると中庭へ向かった。

　ああ……面倒なこと引き受けちゃったなぁ……。

　あのまま悟天に連絡してもらえばよかったかな……。

　そんな思いがチラついたけど、すぐに

　いやいや、ダメだ！

　悟天はダメだ！

　心の中で首を振ってた。

　何でそう思うのかは分からないけど、俺の中の何かが、ダメだと発してた。
　
　自分でもよく分からない、このモヤモヤした気持ちに

　何なんだよ……！

　戸惑いながら中庭に入ると、梨子の微かな気を探った。
　
　小さな気を感じ、梨子がいることを確認すると、恐竜が飼えるくらいの広い中庭を、キョロキョロしながら進んだ。

　すると、丁度庭の真ん中あたりで、おじいちゃんのペットの犬や猫と戯れる梨子を見つけた。

　よく相手をしてるからなのか、動物たちは梨子に懐いてるみたいで、膝の上に乗ったり、撫でてくれとせがむように尻尾を振ったりしてる。

　そんな、絵本の中の一場面みたいな光景を、少し離れた場所から見てると、黒猫のクロが、俺に気付きタッと走り寄って来た。

　あ。気付かれる。

　そう思ったら、案の定
　　
「トランクス君！？」

　クロの動きで俺に気付いた梨子が、驚いた顔をこっちへ向けた。

　何となくバツが悪いのを、クロを抱かかえることで誤魔化しながら

「何してるの……？」

　そう言って、梨子に近付いて行った。