「出来るようになるとは思えんが、せいぜい頑張るんだな」

　吐き捨てるように言うと、早速運ばれてきた料理を食べ始めた。

　その姿を横目に見ながら
　
　はいはい。

　頑張って、絶対出来るようになってみせますよ！

　持ち前の負けず嫌いがむくりと首をもたげ、密かに闘志を燃やしてると

「ところで、剣道の教えってどんなだ？」

　骨付きの肉を持った悟空さんが、期待するような顔で聞いてきた。

「勉強になる」なんてトランクスさんは言ってくれたが、今更剣道の教えなんて、この人たちの役に立つのか？

　疑問に思いながらも

「……武道は相手に勝つためのものじゃなく、心を鍛え、自分に勝つためのもの。それが、剣道……日本武道の教えです」

　それ以外にも、人格形成や道徳心の向上、礼節を尊重する。そういったものも含まれるが、堅苦しくなるので省いて答えると

「自分に勝つか……。それ、前にじっちゃんも言ってたな……」

　思い出すように、悟空さんは視線を上に向けた。

　じっちゃん？

　……て、誰だ？

　と、思いつつ

「あまり参考にはならないと思いますけど」

　そう付け加えると

「真琴が言ってんのと同じことを、オラの師匠たちも言ってた。そのおかげで、オラここまで力を付けることが出来たんだ。だから、参考にならねぇなんてことはねぇさ」

　悟空さんはニカッと笑うと、骨付き肉に豪快に齧り付いた。

　意外な言葉を返され、キョトンとしてると

「武道の教えは、どの宇宙でも共通なのかもしれないな」

　隣りに座るトランクスさんは、そう言って微笑んだ。