「この歌好きなの」

　流れてきたのは所謂プロモーションビデオってやつで、楽器を弾く五人の姿が映っている。

　真ん中でギターを弾くボーカルの声は爽やかで、前向きな歌詞と明るいメロディの曲だった。

　次に流れたのは女性歌手。

　独特の歌声と、ギターを弾く姿がカッコ良かった。

　その次はアニメーションが流れた。

「この映画の主題歌なの」

　梨子からの情報に「へぇ」と言ってから、歌と共に流れる映画のシーンに目が釘付けになった。

　スゴイ……。

　思わず感嘆のため息が出た。

　綺麗で繊細な映像からは、梨子たちの住む地球の街や自然、風俗や文化が垣間見れ

「そっちの地球も楽しそうだな……」

　そう言って隣りをみると、画面を食い入るように見てたせいで、いつの間にか梨子と密着してて慌てた。

　あたふたしてると

「どう？　こっちの地球より建物とか乗り物はアナログだけど、音楽とか映像は負けてないでしょ！」

　勝った。とでもいうふうに、笑みを浮かべる梨子に「あ、ああ」って頷くと

「他にもまだあるから、よかったらまた一緒に見ようね」

　梨子はにこりと微笑んだ。

　その顔に思わず

「あのさ……。こういうの見てたら、自分たちの地球に帰りたいって思わないの？」

　ずっと疑問に思ってたことを口にしてた。

　すると、梨子は一瞬目を大きくしてから

「帰りたいよ」

　そう言って、困ったような弱い笑顔を見せた。

　……だよな。

　じゃあ、何で平気そうなんだよ。