その視線に、トランクス君が気不味そうな顔をすると

「少しは、未来から来たトランクスを見習ったらどうだ」

　別のテーブルに座っているべジータさんが、トランクス君を振り返った。

　そんなべジータさんに、トランクス君はますます気不味そうな顔をすると

「この世界が平和だという証拠ですよ、父さん」

　苦笑いを浮かべたトランクスさんが、トランクス君をフォローした。

　まるで、弟を庇うお兄ちゃんのような微笑ましい光景に、トランクス君へ微笑みを向けると、ホッとしたようなトランクス君は私に気付いて、気不味そうにプイと顔を逸らした。

　……やっぱり、嫌われてるのかな。

　そう思うくらい、トランクス君は、私とマコちゃんの前では、すごく無愛想だった。

「無愛想っていうか、人見知りなんじゃない」

　マコちゃんはそう言って、あまり気にはしてないみたいだったけど、私は

　せっかく歳も近いんだし、仲良くなれたらいいのにな……。

　って、思ってた。

　そりゃ……突然現れて、図々しくもお世話になってる私たちが迷惑なのは分かるけど……。

　何だか、それが寂しく思えた。

　同じ「トランクス」でも、トランクスさんは、いつも優しく笑顔で接してくれるのに、正反対なんだよね……。

　あ。

　そう言えば……。

　私、トランクス君の笑った顔、見たことないかも……。

　私たちの地球に帰るまでに、トランクス君の笑顔、見れるかな……？

　私たちに、笑顔で話しかけてくれる日って、来るのかな？

　そんな、寂しい気持ちを埋めるように、私はまた、ローストビーフを口に運んだ。