「音大に入る為」って、おばさんに勧められて、音楽科のある高校に進んだんだけど……。

　そんな学校の不満を、胸の中でぼやいてると

「梨子がウチにピアノを習いに来始めて、それで仲良くなったんです」

　マコちゃんが私との出会いを淡々と話してた。
　
　確かに、おばさんにピアノを習ってなかったら、マコちゃんと仲良くなってなかったよね。

　家も近所じゃないし。

　何より……。

　マコちゃんって、何となく近寄り難そうな子だったし。

　初めて、マコちゃんと出会った時のことを思い出してると

「じゃあ、ピアノのおかげで、二人は仲良くなったみたいなものなのね」

　そう言って微笑むブルマさんに

「あー……そうですね」

　って、ナイフとフォークを手に答えるマコちゃんの視線は、少し宙を見つめてた。

　マコちゃんも私と初めて会った時のことを思い出してるのかな？

　なんて思ってると　

「ところで、真琴ちゃんは、ピアノはしないの？」

　首を傾げるブルマさんに

「私には向いてないんで」

　マコちゃんはそう答えると、一口大に切ったステーキをパクッと口の中へ入れた。　

　あっさり「向いてない」って言ったマコちゃんを見つめながら

「ふーん。まぁ、そうね。子供が親と同じモノを好きになるとは限らないものね。トランクスも、べジータと違ってトレーニングは好きじゃないみたいだし」　

　ブルマさんは納得したようにそう言うと、同じテーブルに座るトランクス君へと視線を向けた。