「神出鬼没」

　そう。

　まさにソレだ。

　私を攫えたのも、時間や空間を自由に行き来出来るっていう、反則技をそいつ等が使えるからだ。

　だから「一人で行動するな」なんていう、不自由な生活を強いられることになった。

　ああ、マジでムカツク！

　イライラを解消するように、今度は紅茶をグイッと飲み干してると

「よぉ、ビルス様にウイスさん！　また来たんか」

　悟空さんの声が聞こえた。

「悟空さ！」

　と呼ぶ、チチさんの声に笑顔で返事をする悟空さんの横にはベジータさんもいて、その顔はいつも以上に不機嫌そうだった。

　きっと、今日は演奏会をするということで庭が使えず、重力室での修行になったからだ。

　重力室には限界があるから思い切り戦えないのだということを、未来に帰って行ったトランクスさんから聞いたことがある。

　きっと、ベジータさんの不機嫌はソレが原因だな。

　と、いつもより傷の浅い二人を見てそう思ってると

「また来ちゃ悪いか？」

　ビルス様がジロッと悟空さんを見据えた。

　すると

「別に悪かねぇけどさ。ヒマなら手合わせしてくんねぇかなと思ってさ」

　口を尖らせ、不満そうに言う悟空さんに

「カ、カカロット！」

　不機嫌な顔から一転、ベジータさんはサッと顔を引き攣らせ

　余計なことを言うんじゃない……！

　そう言わんばかりの顔で、悟空さんを睨んだ。

　一方「ヒマ」と言われた破壊神の方は眉を片方ピクリと上げると

「悪いけど、ヒマじゃあないんだ。なぁ、ウイス？」

　綺麗な姿勢でティーカップを持ち上げるウイスさんを横目で見上げた。