でも。

　やっぱり人前じゃ無理っ！！

　そう思って苦笑いで誤魔化してると

「もう！　大丈夫よ！　ヤムチャみたいなオヤジと可愛い女の子が唄うのじゃ全然違うんだから！　ね、トランクス？」　

　ブルマさんがにっこりとトランクスさんに微笑んだ。

　急に話しを振られ

「えっ？！　あぁ、ええ……まぁ……」

　言葉を濁すトランクスさんに

「ホラ。トランクスも梨子ちゃんの歌聴きたいみたいよ！」

　ブルマさんはウキウキと楽しそうな顔で、私を見つめた。

　……いや、言わされてる感が半端ないですけど。

　ブルマさんに押されてる状態の、硬い表情のトランクスさんを見て、更に苦笑いすると

「何じゃ、梨子ちゃんは歌ってくれんのか」

「オラ、梨子ちゃんの歌も聴きたかったべ、残念だぁ」

「そうですね。確かに残念ですけど、梨子ちゃんが唄いたくないなら仕方ありませんよ。無理強いするのも悪いですし。ね、梨子ちゃん」

　なんて声が聞こえてきて、私は困った笑顔を作って「スミマセン」てまた誤魔化した。

　唄いたい気持ちと、恥かしさの間で揺れる気持ちに蓋をして、何とかこの場をやり過ごそうとしてると

「お姉ちゃんは唄ってくれないの？」

　マーロンちゃんの残念そうな顔が目に映った。

　１８号さん譲りのブロンドヘアを二つに結ったマーロンちゃんのその表情に

　うっ……。

　って、たじろいでると

「私、お姉ちゃんの歌聴いてみたい！」

　マーロンちゃんは次に、わくわと期待に満ちた黒いつぶらな瞳を向けてきた。