よかったわ！

　音楽に関心がある人間が他にもいて。

　楽しみにしてるのが自分だけじゃないことにホッとしてると

「梨子さんは歌もピアノもギターも本当にお上手なんですよ！　みなさんにも聴いてもらいたいなー」

　デンデ君の興奮する声がした。

「神様は聴いたことがあるの？！」

「ええ、天界から！　ピアノは直接聴いてみたくて、神殿まで来て頂いて弾いてもらったんです。でも、歌は直接聴いたことはないので、今日は是非聴いてみたいな」

「ええっ？！　いいな！　あ！　もしかして、トランクスも聴いたことあるの？」

「まぁな」

「何だよ！　トランクスも神様も聴いたことあるの？！　それならますます聴きたくなってきた！　よーし……絶対梨子ちゃんに歌ってもらうぞー！」

「でも、梨子さんは人前で演奏しながら歌うのは苦手なようですから……。梨子さんが歌いたくなるような雰囲気になればいいですね」

　デンデ君はそう言うと、ヤムチャと話しをする梨子ちゃんを見つめた。




　突然の思いつきで開催されることになった、梨子ちゃんとヤムチャのステージ。

　ちゃんとした舞台は用意出来なかったけど、グランドピアノが置かれた庭は、それだけで十分素敵な舞台になったように思えた。

　梨子ちゃんから借りたギターを持ったヤムチャも様になってるし、さぁ！　二人がどんな共演を見せてくれるか楽しみだわ！！

　私はテーブルに両肘をついて、ウキウキした気分で演奏が始まるのを待った。