目の前の悟飯さんの笑顔を見て、言葉が詰まった。

　そこにいた悟飯さんは、俺の世界の悟飯さんにそっくりだった。

　一瞬、悟飯さんが生き返ったのかと錯覚したが、メガネをかけ、柔らかな雰囲気を纏う目の前の悟飯さんは、やはり別人だった。

　そうだ……。

　この悟飯さんは、あのセルを倒した悟飯さんの成長した姿なんだ……。

　そう思い直すと、込み上げてきた熱い感情はスッと胸の奥へと引いて行き

「悟飯さん、お久しぶりです！」

　と、何とか笑みを浮かべることが出来た。

「悟飯くんは夢だった学者になって、結婚もして、幸せな家庭を築いてるのよ」

　この世界の母さんから聞いた話しが本当のことなんだと、目の前の悟飯さんを見て実感し

　――未来の世界の悟飯さんが成し得なかったこと。

　それを、この世界の悟飯さんは成し得たんだ……！

　俺はそう思うと、いくら反するとは言え、タイムマシンを使い、この世界を平和にしたことは正しいことだったんだと確信した。

　今まで、心の何処かで燻っていた「罪悪感」が薄れていくのを感じていると
　
「いやぁ。それにしても、トランクスさんが二人いるなんて……。ブルマさんから聞いた時は信じられませんでしたよ！」

　驚く悟飯さんは

「でも、未来の世界が二つあって、そこにトランクスさんが二人いるなら、どちらの未来の世界も安泰ですね！」

　にこりと笑顔を浮かべた。

　その笑顔に

「ええ！　是非、平和になった未来の世界をお見せしたいです！　それに……母さんにも会って欲しいです」

　俺も、そう笑顔で答えていた。