そうなったのは、きっと母さんやこの世界の俺。

　そして、俺の世界には存在しない妹――ブラという娘の存在が大きく影響してるのは間違いなかった。

　戦いの中で、父さんは「家族」という存在の大切さに気付いたんだ。

　この世界で過ごして二週間。

　毎日のように起こる、母さんとの口喧嘩。

　修行を怠けてるらしい、トランクスへの小言。

　まだ幼いブラを腕に抱き、父親らしく振る舞う姿。

　そんな、家族と関わる父さんの姿を目の当たりにして、俺は驚き、そして感動した。

「あいつ、変わっただろ？」

　そう言って、可笑しそうに笑う悟空さんに「ええ」と頷きながら

　俺の世界の母さんが、この父さんの姿を見たら何て言うだろ？

　そう思った。

「言ったでしょ！　本来は優しい人なのよ」

　そう言って、微笑む母さんの顔が目に浮かび

　……母さんにいい土産話しが出来たな。この仕事が終わったら、俺の世界の母さんに会いに、久しぶりに地球に帰ろう。

　そんなことを考え、思わず口元を緩めていると、向こうの方から視線を感じた。

　ふと目を向けると、彼女が慌てて俺から視線を逸らした。

　川本梨子。

　時の界王神様の指示で、俺たちが守ることになった甲斐梨子という少女の友達だ。

　巻き込まれる形で、別の宇宙の地球から来た彼女。

　この地球に来て三ヶ月以上経つらしいが、彼女は嫌がるどころか、むしろこの地球での生活を楽しんでるようで

「かなり変わった子よ」

　と、母さんが感心するように言っていた。