と心の中でツッコミつつ、そのことには敢えて触れず

「ああ……お腹空いた」

　再び顔を天井に向けると、そう呟いた。




「担いで行ってやるって」

　と言う、悟空さんの申し出は丁重にお断りして、私は壁に手をつきつつ、レストランへと向かった。

　甘えればいいんだろうが、少しでも身体を動かした方が、寝すぎて固まった身体がほぐれるだろう。そう思った。

「先に行ってください」とは言ったが、悟空さんは「かまわねぇさ」と言って、私に付き合ってゆっくり歩いてくれた。

　そんな人の好い横顔をチラリと見て、さっきの「何ともない」と言った悟空さんの言葉の意味を考えた。

　きっと、アイツ等に捕まってる時のことだろうというのは察しがついた。

　もしかして、見るからにヤバそうなアレを食べさせられたことか……？

　見たこともない、ドス黒いオーラのようなものを纏った果物が頭の中で甦り

　アレ……何だったんだ……？

　正体不明の何かを食べさせられたことを思い出し、今更ながらゾワッと鳥肌が立った。

　クソッ……！

　アイツ等、私に何食べさせたんだ！？

　フツフツと怒りが込み上げてくるのと同時に、同じ牢屋にいた人のことを思い出した。

　薄汚れた白いフードに髭面。

　さすらいの旅人のような見た目だったが、言葉遣いは丁寧で、やけに私のことを気遣ってくれた。

　あの人、どうなったんだ……。

　悟空さんに聞こうとするも、レストランに着いてしまい

「あー、オラも腹減ったぞ」

　そう言って、レストランに入って行く悟空さんに、尋ねようとした言葉を飲み込んだ。