目を開くと、見覚えのある天井が目に入った。

　……ん？

　……あれ？？

　ぼんやりした意識のまま、白い天井を眺めてると

「おっ、起きたか！」

　と言う、明るい声が聞こえてきた。

　聞き覚えのあるその声の方に視線だけ動かすと、そこには悟空さんの笑顔があった。

「ご、くうさん……？！」

　驚いて、重たい瞼を開くと

「よっ！」

　と言う、にこりと微笑む顔が覗き込んできた。

　温もりと安心を感じるその存在に

　ああ……。

　私、帰って来たのか……。

　心身ともに底からホッとしてると

「いやー、帰ってから二日経っても起きねぇから、みんな心配してたんだぞ」

　ベッドの傍に置かれた椅子に、どかりと座る悟空さんはそう言った。

「二日……？！」

　そんなに寝てたのか、私……。

　どうりで身体がだるい筈だ……。

　経験したことがない睡眠時間をとっていたことを知り、げんなりしてると

「あ、えっと……あぁ、そうだ！　どっか痛むとことかねぇか？！　頭とか腹とかさ！」

　悟空さんが、取ってつけたように尋ねてきた。

　……自発的な質問じゃないな……。

　わざとらしい笑顔を浮かべてる悟空さんを訝りながら

「……別に、ないですけど……」

　そう答えると

「お、そっか……！　ふぅー……とりあえず今は何ともねぇみてぇだな……」

　悟空さんは私から顔を背け、そう呟いた。

　何……？

　何が「何ともない」んだ。

　怪訝な視線を悟空さんに向けると

「あ、いや、何でもねぇ何でもねぇ」

　ははは。

　と笑う顔に

　隠し事ヘタクソか……！