「知っているのか？！」

　父さんや他のみんなが、次は一斉に俺へと視線を向けた。

　俺は

「ええ……」

　とだけ頷いてから

　あいつ等……。倒したとばかり思っていたのに……！

　グッと奥歯を噛んでいると

「トワとミラ……。聞いたことのある名前だねぇ」　

　ビルス様も、ピクリと表情を動かした。

「トワとミラといえば……暗黒魔界の住人でしたね？　確かトワはダーブラとかいう魔界の王の妹じゃなかったですか？」

　ウイスさんの言葉に

「ダーブラの妹だと？！」

　父さんが、驚いたように目を見開いた。

「ええ。トワはダーブラの妹で、暗黒魔界の科学者。そして、ミラはそのトワが造りだした人造人間……。でも、その二人なら以前悟空さんたちが倒した筈ですが……」

　不思議そうな表情をするウイスさんに

「ふん！　誰かのせいで並行世界が増えたからな。その世界に奴等がいても不思議じゃない」

　ビルス様はそう言うと、母さんにジロリと目を向けた。

　そう言われ、怯む母さんの横から

「じゃあ、またアイツと戦えるんか！」

　嬉しそうな悟空さんの声がすると

「それにしても……。あの二人があなた方を攫った理由は何でしょう？」

　ウイスさんがコッカーさんに視線を向けた。

　疲れは見えるが、光が射したグレーの瞳は視線を床に落とすと

「……それは、この方が姫様の力を受け継いでるからです……」

　そう答えた。

　その答えに「姫？」と言う訝しんだ声があがると

「はい……。この方が惑星ドギーの姫、ポメ姫様の生まれ変わりだからです」
　
　そう言って、コッカーさんは顔を上げた。