母さんはそう言うと

「もしかしたら、あのオヤジも何か知ってるかもしれないし……」

　と、眉間に皺を寄せ腕を組んだ。

　そうだ……。

　とりあえず、あの牢にいた二人から話しを聞くまでは、何もはっきりしない……。

　焦る気持ちを抑えるように、心の中で重い溜息を吐いていると

「ああ、あのオヤジはベジータが見てるから。もし、真琴ちゃんが目を覚ましたら教えて。じゃ、頼んだわよ」

　そう言うと、母さんは部屋を出て行った。

　

　
　数時間経ち、窓の外には夜の闇が迫ってきていた。

　ベッドで眠る少女を見守る……というより見張っていると、部屋のドアが開き、ローブを着た男の胸倉を掴んだ父さんが入って来た。

「？！　父さん！」

「目を覚ました。ブルマたちを呼んで来い！」

「はい！」

　父さんに胸倉を掴まれ、苦しげに呻く初老の男性の横を通り過ぎ、俺は部屋を飛び出した。

　正体の分からない人物が目を覚ましたことを聞き、まだ目を覚まさない少女の部屋にみんなが集まった。

　その中には梨子という名前の彼女もいて、そして、この世界の俺もいた。

　この世界の俺は、俺を見るなり一瞬複雑そうな表情を浮かべてから、部屋の奥へと入って行った。

　……戸惑うのも当然か。

　俺自身、赤ん坊から成長した自分の姿を実際に目にして苦笑いを浮かべながら

　人造人間やセルとの戦いから、それだけの時間が経ったのか……。

　そう、しみじみ実感していると

「……おまえは一体何者だ」

　父さんが、椅子に座るローブを着た男性を見据えた。