ソファと同じ、ブルーのクッションを抱きしめる梨子は

「私にも「神の気」があればなー。そしたら、マコちゃんだけ危ない目に遭うことないのに」

　眉を下げて、寂しそうに笑った。

　……ああ。「引け目」ってヤツか。

　確かに、毎日真琴が悟空おじさんと稽古してるのを見てると、そんなふうになるよな。

　お兄ちゃんがパパと修行してる時、自分もそんな気持ちになることを思い出しながら

「梨子にも「神の気」なんてあったら、パパと悟空おじさんの守る対象が増えるだけだろ。「神の気」なんて力を持ってるのは一人で十分だって」

　気にするなってふうに言うと

「……そっか……。でも、でもね。私だけのんびり過ごしてるのが、何かね、悪いなって……」

　梨子はそう言って、顔を曇らせた。

　最近、凹んでる梨子を見ることが多いな……。

　少し前に、森で寂しそうにピアノを弾いていた梨子を思い出してると

「私、何でここに来ちゃったんだろね」

　梨子は弱い笑顔を浮かべた。

　……今更だな。

　って、ツッコミたくなるのを我慢して

「さぁ……。ただ、巻き込まれただけだろ？　梨子に特別な力があるわけじゃないし」

　意味がある。って思いたいかもしれないけど、残念ながら梨子がこの地球に来たのは、紛れもなく、ただのとばっちりだ。

　だけど、巻き込まれたものは仕方ない。

　それも運命ってヤツだ。

　そう思って

「別に意味なんてないよ」

　軽い口調で言うと