「窓から水かけたことは、梨子には適当なこと言って誤魔化しときましたから大丈夫ですよ。それに、梨子に昨日のことを言うつもりはないですから、安心してください」

　あんたの心配の理由は梨子だろ？

　そう言わんばかりに、ぬるい視線を送ると、トランクスさんは正解だっていうふうに、顔を赤くした。

　くだらない内容だけど、トランクスさんの弱みを握ったことで、ちょっと調子に乗った私は

「ところで、梨子のどこがいいんですか？」

　気になってたことを、ここぞとばかりに聞いてみた。

　すると、トランクスさんは「えっ？！」って、ギクリとした声を漏らした。

　恥ずかしそうに、顔を赤くしてるイケメンをじっと見つめながら

　イケメンなのに、リアクションが純なんだよね。

　なんて思ってると

「そ、その……どこがいいというのは……？」

　トランクスさんは誤魔化すように、強張った顔を浮かべ、疑問に疑問で返してきた。

　……いやいや。

　この人、あんなにあからさまに態度に出しといて、まさか誰も気付いてないとでも思ってんのか？
　
　梨子の姿を目で追ってるとこや、梨子と話してる時のデレた顔を思い出しながら

「惚けてもムダですって。トランクスさんが梨子のこと好きなのは、分かってるんですから」

　呆れた顔でトランクスさんを見ると、トランクスさんは赤くなった顔を更に赤くして、唇をキュッと結んだ。

　そんな、初々しいリアクションをするトランクスさんに半分呆れながら「ああ」って納得した。