でも『武士道』の話しをし始めると、少し興味が湧いたらしく、また本の話しを聞かせて欲しいと言われ、胸の中が甘酸っぱい気持ちでいっぱいになった。

　そして、こんなチャンスを逃すのは勿体ないと思った俺は

「俺も梨子さんたちの住む地球のことを知りたいので、また地球の話しを聞かせてもらえませんか！」

　ここぞとばかりに、そんな約束を取りつけていた。

　
　

　朝食を食べ終わると、梨子さんはピアノの練習をするのだと言って、一階にある練習用の部屋へと行ってしまった。

　もっと話したい。などと思った自分に「欲張り過ぎだ」とツッコみながら、自分の部屋へと戻っていると、途中、庭で竹刀を振る真琴さんを見かけた。

　神の気を身に付けてから、真琴さんをミラとトワから守る為に、悟空さんと父さん、そして俺の誰かが、護衛として傍に付くことになっていた。

　しかし、今は傍に誰もおらず

　危険だ！
　
　そう思って、庭へ向かって走りだす俺の頭の中には

　昨日の誤解を解くには今しかない！

　そんな言葉も浮かんでいた。

「真琴さん！」

　声を掛けると、黒い髪を一つに束ねた真琴さんは、竹刀を構えたまま、俺の方へと顔を向けた。

「いつトワとミラが現れるか分からないんですよ！　一人でいるのは危険です！　この時間は父さんが護衛に当たる時間ですよね？！　父さんはどこに行ったんです？！」

　捲し立てるように言うと

「ああ。ベジータさんは、重力室に行ったと思いますよ」

　真琴さんは何でもないことのように答えた。