これまでの、ベジータさんの言動を思い出しながら

「冷たいって、思ったことはないです」

　そう言うと

「そうですか……。そう思われなくなったのは、きっと、家族のおかげです」

　嬉しそうに微笑むトランクスさんに、私は

「家族の？」

　って、目を大きくした。

「ええ。前に俺がこの世界に来た時は、父さんはまだサイヤ人の性格の方が強くて、家族や他人に関心がありませんでした」

　ブラちゃんを片手に抱えるベジータさんを思い浮かべながら、信じられない。って思ってると

「でも、地球で母さんたちと暮らしていくうちに変化があったみたいです。今回、またこの世界に来て、父さんの変わりように驚きました」

　何かを思い出したのか、トランクスさんは可笑しそうに、クスッと笑った。

　へぇ……。

　家族のおかげで、気持ちが変化していくなんて……。　

　それって「愛の力」？

　ヤダ、何ソレ！

　感動のヒューマン映画みたい！！

　そんなことを思って、一人胸をときめかせてると

「許されないことなんですが、俺はこの世界に来てよかったと思ってます」

　向かいから、吹っ切れたような声が聞こえてきた。

　テーブルをじっと見つめ、穏やかに微笑んでるランクスさんに

「よかったに決まってますよ！　だって、トランクスさんが来たから、この世界は平和なんですよね？　だから、よかったに決まってます！」

　そう言い切ると、パッと視線を上げて私を見るトランクスさんは、驚いたような顔をしてた。

　鳩が豆鉄砲を食ったって、こんな顔を言うんだろうなって顔するトランクスさんに