でも。

　サイヤ人のベジータさんと悟空さんが、そんなふうには見えないんだよね。

　まぁ、ベジータさんは最初は怖かったけど……。

　こうして同居させてもらってると、実は優しい人なんだって思うところを見ることがあるし。

　それに、ベジータさんと悟空さんは、地球を何度も救ってるって、ブルマさんが言ってた。

　だから

「ベジータさんも悟空さんも、優しいですよ？　それに強いし！　誇れるところ、ちゃんとありますよ！」

　二人を擁護するように言うと　

「それは、あの二人が地球人だからですよ」

　そう言って、トランクスさんは小さく笑った。

「地球人……？」

「ええ。地球で暮らしていくうちに、地球人と同じ考え方になったんです」
　
　うーん……。

　それって「朱に交われば」ってこと？

　確かに、知らない土地でも、長く住んでると自然とその場所に馴染むっていうもんね。

　現に、私もマコちゃんもそうなりつつあるし……。

　自分たちの住んでた地球より、かなり進んだ、この地球のＩＴや科学に馴染み始めてる自分たちに、ベジータさんと悟空さんを重ねてると

「母さんから聞いたかもしれませんが、サイヤ人は地球人と違って、とても冷酷で残忍な民族なんです。梨子さんは、今の父さんしか知らないので、分からないと思いますけど、むかしの父さんは冷たい人でした」

　トランクスさんは思い出すように、少し遠い目をした。

　冷たい？

　ベジータさんが？　

　確かに、近寄り難い雰囲気はあるけど、冷たいっていうより……厳しい……じゃない？