ウエイターさんが淹れなおしてくれたばかりのコーヒーを、静かに飲み込んだトランクスさんに　　

「サイヤ人の人たちの歴史、知りたいですか？」

　聞くと

「そうですね。あの本を読んでいたら、知りたいと思うようになりました」

　トランクスさんはそう言って、静かにマグカップをテーブルに置いた。

　歴史、か……。
　
　私たち「日本人」の歴史なんて、調べればキリがない程出てくる。

　それが普通だと思ってたけど、トランクスさんみたいに、そうじゃない人もいるんだ……。

　自分の当たり前が崩れて「そうですか……」って、ぼんやりした声を出すと

「はい。だから『ニホン人』の民族性を、歴史の中から解き明かす本があるのは羨ましいです」

　トランクスさんは微笑むと、またコーヒーの入ったマグカップを手に取った。

　民族性……。

「民族」って言葉で括られて、何だか体がゾワッとした。

「日本人」て言葉はよく聞くし、使うけど「民族」って言葉は使わない。

　間違ってはないんだろうけど……「民族」って言葉に違和感を感じてると、コーヒーを飲み込んだトランクスさんは

「真琴さんはあの本を読むと、ニホン人であることを誇らしく思う。そう言ってました。そう思えるのも羨ましいです。俺が聞く限り、サイヤ人は誇れるようなところは少ないので」

　そう付け加えて、苦笑いした。

　そんなトランクスさんの言った「誇れるようなところが少ない」って言葉に、ブルマさんの言葉を思い出した。

　サイヤ人は戦闘民族で、色々な星を侵略してたって。

　だから、サイヤ人は恨まれてることが多いって。