そんなトランクスさんを、見たことがなかった私は、何だか嬉しくなって

「でも、そのおかげで、私もマコちゃんもこの地球で不自由なく暮らせてますけど」

　つられるように笑顔で言うと

「そうですね。じゃあ、俺が『ニホン』に行っても、暮らしていけるかもしれないな」

　トランクスさんから、そんな言葉が返ってきた。

　へぇ……！

　トランクスさんも、こんな冗談言うんだ。

　今までの会話では交わされたことがなかったやり取りに、トランクスさんの違う一面を見れて、ますます嬉しくなって　

「全然大丈夫ですよ！　あ。でも、この地球と違ってアナログだから、不便かもしれませんけど」

　そう続けると

「アナログはそれでいいところもありますから」　

　そうフォローしてから

「是非行ってみたいです。梨子さんたちの住む『ニホン』に」

　トランクスさんはにこりと笑った。

　そんな、いつもと違ってよくしゃべる……あ、こんなふうに言ったら語弊があるかも……。

　えーと……多弁？　なトランクスさんが珍しくて

「『武士道』のおかげで、こんなに話せるなんて、思いませんでした」

　くすっと笑うと

「え？！　あ……す、すみません！　本を読んだのが久しぶりで、しゃべり過ぎました……！」　

　別に嫌味とかそういう意味で言ったんじゃないんだけど、トランクスさんに気まずそうに謝られた。

「謝らなくていいですよ」　
　
　イヤじゃないっていうのを、笑顔でアピールすると

「いや……梨子さんが読んでいない本の話しをしてしまって……。つまらなかったですよね……」