って、犬かよ！

　せめて人間にしてくれ！

　なんて、心の中でツッコミながら

「悪いな、ブラ。お兄ちゃんは宿題があるから、ままごとは三人でしてくれないか」

　ままごとに参加する気がないことを言うと、ブラが拗ねて口を尖らせた。

　……そんな顔されると、俺がスゴク悪者みたいじゃないか……。

　微妙な空気が流れる中で、その空気に耐えてると

「……だってさ、ブラちゃん。お兄ちゃんは勉強があるから、三人で遊ぼ」

　ブラに言い聞かすように言った後「早く行け」と言わんばかりの、真琴の黒い瞳と目が合った。

「じゃあ、ブラ。仲良く遊んでもらうんだぞ」

　俺はブラの頭をなるべく優しく撫でてから、そそくさとリビングを出た。

　まさか真琴が助けてくれるなんて……。

　意外に思いながら、部屋へと向かってると

「あら、おかえりトランクス」

　数枚の用紙を持ったママが向こうから歩いて来た。

「ただいま。……どこ行くの？」

　研究室とは逆の方に向かうママに尋ねると

「真琴ちゃんのとこよ。リビングでブラと遊んでくれてるはずなんだけど」

　って答えが返ってきた。

「ああ。いたよ」

「あら、会ったの？」

「うん。三人でままごとしてた」

「そう」

　って笑顔を浮かべ、リビングに向かおうとするママに

「ねぇ、それ何？」

　持ってる用紙を覗き込むと

「ああ、これ？　これ、真琴ちゃんの身体を調べた検査用紙よ。ほら、神の気だっけ？　今までにない力を身に付けちゃったみたいだから、身体や脳に異常がないか一応調べたのよ」