あれは、れっきとした儀式なんだけどな。

　まぁ、ブルマさんたち、この第七宇宙の地球の人にも「切腹」はただの「自殺」と思われても仕方ない。

　まぁ「切腹」について説明しようとすると、日本の歴史から説明しないといけない。

　それは長過ぎる。

　だから

「はは。すみません。つい勢いで」

　なんて笑いながら、話しを終わらせようとすると

「そうだよ、マコちゃん。武士道に憧れるのはいいけど、切腹とか言わないで！　怖いから！」

　梨子が顔を顰め言ってきた。　

　すると

「ブシドー？　ブシドーって何？」

　ブルマさんが大きな青い目をパチクリとさせ、尋ねてきた。

　多分……いや、この地球にはきっとないだろう「武士道」って言葉に、好奇心旺盛なブルマさんが興味を持ったのは当然なのかもしれない。

　この才色兼備の科学者は、私たちがこの地球に来た時から、私たちの地球のことを知りたがったから。

　だから

「えーっと……『武士道』っていうのは本です」

　そう答えた。

「『武士道』に憧れてる」なんて、妙な言い方を梨子がしたが「武士道」は私の愛読書だ。

　この本を私に薦めてくれたのは、私が子供の頃から通ってる剣道道場の先生で、先生の薦めで読み始めた「武士道」は、私のバイブル的書物となった。

「武士道」といえば「死ぬことと見つけたり」で有名な「葉隠」って書物と勘違いされやすいが、私の愛読書の「武士道」は、明治時代に新渡戸稲造が、日本人が持つ道徳意識や思考方法を、初めて世界に向けて紹介した本だ。