悟空さんと真琴さんの修行が終わったのは、丁度正午になろうかという頃だった。

　悟空さんの「腹減ったぞ」という一言で、昼食をとるためレストランへ向かっている途中、俺たちのようすが違うことに気付いたのだろう。

　真琴さんが訝し気な顔で、俺たちを見ていた。

「お気になさらず」

　そう言ったコッカ―さんに気を遣わせまいと、母さんが話しを振り頑張ってくれたが、一度沈んでしまった空気を変えることは難しく、俺と梨子さんは曖昧な笑顔で、母さんの振る話題に応えていた。

　何とかレストランまで明るい雰囲気を保つことが出来たのは、真琴さんとの修行のことを軽快に話し、母さんの話しに上手く相槌を打ってくれた悟空さんのおかげだ。

　俺たちだけじゃ、すぐに微妙な空気になっていたに違いない。

　そして、そんな微妙な空気を醸し出す俺たちを察した真琴さんが

「何かあったの？」

　そう尋ねてきたのは、コッカ―さんが自室へと戻った後――みんなで食後のお茶を飲んでいる時だった。

　聞きたいのを我慢していたのか、ただ、俺たちの塞ぎ込んだような雰囲気が気に入らなかったのか……。

　真琴さんは苛立ったようすで、梨子さんに質問に答えるよう、目で圧をかけた。

　そんな視線を向けられた梨子さんは、少し間を置いてから言いにくそうに

「ポメ姫って、コッカ―さんの婚約者だったんだって……」

　と答えると、さっきコッカ―さんから聞いた話しを話し始めた。