昼食を済ませて、リビングでブラと絵本を読んでる時だった。

　重力室でトレーニングしていた筈のべジータが、リビングに入って来るなり、バルコニーから庭へ飛び出して行った。

「ちょ……！　どうしたのよ？！」

　ブラに「待っててね」と言ってから、べジータが飛び出して行ったバルコニーから庭を覗くと、そこには見た事のない女の子が立っていた。

　誰？

　一瞬訝ったけど、その子が片方の腕に抱えてるのが真琴ちゃんだと分かると、私はすぐさま庭へ向かった。

　庭に出ると、べジータが真琴ちゃんと……見たことのない、髭面のオヤジ……男の人を、それぞれ両脇に抱えていた。

　二人を受け渡したことで、自分の用事は済んだとばかりに飛び去ろうとするその子に

「待て！　一体こいつをどこで見つけた！」

　べジータが問い質すと、その子はそれは言えないとでもいうふうに首を軽く振ってから、チラリと目配せでもするように視線を逸らした。

　思わず、べジータと私は誘導されるようにその子が目配せした方に視線を動かすと、その隙を衝いて、その子は光の中へスゥと消えていった。

「えっ？！　ちょ、ちょっと！！」

　驚いた声をあげると、べジータからは「くそっ！」っていう、舌打ちみたいな声がした。

　孫君の瞬間移動とも違う、空気に溶けていくように光の中に消える姿に唖然としてると、べジータが何かに気付いたように、庭の奥の方に顔を向けた。

　そこは、さっきあの子が目配せした方向で、べジータは両脇に抱えた二人をその場に下ろすと、そこに向かって歩き始めた。