ママがイライラと呆れが混じったような声を、悟空さんにぶつけると

「せっかく神の気を身に付けましたけど、完全に力を目覚めさせることも出来ませんしねぇ。まさに宝の持ち腐れ……猫に小判といったところでしょうか」

　ウイスさんは可笑しそうに、小さく笑った。

「宝の持ち腐れ」

　確かにその通りかもな。

　真琴が望んだわけじゃないし、しかも使ってはいけない力なんかを与えられたって、どうしようもないじゃん。

　しかも、真琴自身、神の力に興味ないみたいだし……。

　ってかさ。これって、完全にトワとミラってヤツ等、ミスったんじゃないの？

　真琴が神の力を目覚めさせないと、暗黒魔界とかいう世界の封印は解けないんだろ？

　真琴が、自分から神の力を目覚めさせることもないだろうしな……。

　そんなことを考えて、思わず敵に同情してると　　　

「まぁ、本人に神の力を目覚めさせる気がなくてよかったよ」

　ビルス様は安心したように、がぶりとリンゴにかぶりついた。

　破壊神のビルス様が、そんな安心したように言うくらいだから、敵がしようとしてることって結構ヤバイことなんだ……。

　やっと、巻き込まれたことの重大さを実感してると

「でも、ビルス様。安心は出来ませんよ。真琴さんにその気がなくても、敵の方はそうじゃないでしょうから」

　ウイスさんが、警告するように隣りの席のビルス様に視線を移した。

「また、仕掛けて来るか？」

「恐らく……」

「じゃあ、オラたち気ぃ抜いてらんねぇな、ベジータ」