「でも、その能力は使えないぞ」

　ビルス様の呆れた声がした。

「えっ、何で？！」

　明らかに、がっかりする梨子ちゃんに

「当たり前だ。そいつはただ、神の気に目覚めただけなんだからな。修行をすれば、治癒や予知、それ以外の能力も使えるようになるかもしれん。が、さっきも言ったが、それは宇宙全体の危機に繋がるんだ。分かったな！」

　ビルス様がイラついたたように言うと

「えー。そうなんだ……。つまんない」

　梨子ちゃんは口を尖らせた。

　そしたら

「だよなー。梨子もそう思うよなぁ」

　孫君が同感だというふうに言って、梨子ちゃんと顔を見合わせた。

「あーあ。神の力、見たかったです……」
　
「オラも真琴がどんだけの力があんのか知りたかったぞ」

　残念と言わんばかりにそう言う二人に

「コイツら……」

　ビルス様が顔を引き攣らせると

「大丈夫ですよ。私、神の力なんてものを目覚めさせる気ないですから」

　ずっと黙ってた真琴ちゃんが、孫君と梨子ちゃんに冷めた目を向けた。

　その言葉に

「おまえはまともで安心したよ」

　ビルス様が安心したように言うと

「よかったですねぇ、ビルス様。真琴さんにその気がなければ、力が目覚める心配はありませんよ。それに……歴史も多少の改変で済むかもしれませんね」
　
　ウイスさんはトランクスの方をチラリと見ると

「まぁ、どこからが改変なのかは分かりませんけどね」

　と、目を細めた。