「ホントですか！　それなら、私そのお店で働きたいです！」

　やる気満々でそう言った梨子ちゃんを、トランクス二人が複雑な顔で聞いてるのを、私は見逃さなかった。




「梨子ちゃんのメイドっぷり、なかなかサマになってたと思わない？　愛想も愛嬌もあるし、それに可愛いし！　きっと看板娘になること間違いないわ。ね？　そう思わない？」

　夕食後、研究室にやって来た、未来から来た我が子にそう言うと

「えっ？！　あ、そうですね……」

　歯切れの悪い答えが返ってきた。

　その不安そうな反応が可笑しくて

「トランクス。あんた、梨子ちゃんのこと好きなら、さっさと告白しちゃえば？」

　そう言うと

「こっ、告白……！？」

　トランクスがギョッとしたような、驚いた声を出した。

「何よ。好きならちゃんと伝えないと。梨子ちゃんて、言わないと気付かないタイプみたいだし。早くしないと誰かに取られるかもしれないわよ！」

　動揺する我が子を焦らすように言うと

「い、いや……告白なんて……！」

　トランクスは顔を真っ赤にして、首を横に振った。

「そんなこと言ってると、後悔するわよ！　恋愛は早いもの勝ちなんだから！　ったく、あんたもこっちのトランクスも、恋愛に関しては弱気よね。まったく、誰に似たのかしら？」

　フーっと溜息交じりに言うと

「……お、俺は。いまのままでいいんです。梨子さんの近くに、こうしていられるだけで満足ですから」

　トランクスは、自分に言い聞かせるようにそう言うと、赤い顔を俯かせた。