「どう？　メイドの仕事は慣れてきた？」

　料理をテーブルに運んで来た梨子ちゃんに聞くと

「はい、何とか」
　
　って、いつもの愛想のいい笑顔が返ってきた。
　
　確かに、初めはちょっとぎこちなかったお皿を置く所作や飲み物の淹れ方なんかも、三日経った今日は随分手慣れて見える。

　ま、器用な子だものね。

　どんな仕事でも、上手くこなすだろうとは思ってたけど。

「どうしてもアルバイトがしたい」って言ってきた時は、厨房に入ってもらおうかと思ったんだけど……。

　やっぱり、こうしてメイドとして働いてもらうことにしてよかったわ！

　だって……。

　トランクスたちの反応が面白いんだもの！

　もう見慣れたみたいだけど、最初は梨子ちゃんのメイド姿が新鮮だったのか、チラチラ目で追ったりなんかして！

　特に。ウチのトランクスなんか「ご主人様」なんて、冗談でも呼ばれちゃったもんだから、妙に意識しちゃって！

　また「ご主人様」って呼んで欲しいみたいで、期待した顔でテーブルに座ってるんだもの。

　そして。

　未来から来た我が子の方も、梨子ちゃんが料理を運んで来る時は、あからさまに顔をだらしなく緩ませてるから、見てて面白いったらないんだから！

　あの生真面目で、恋愛とはきっと縁遠い人生を生きてきた未来の我が子が、梨子ちゃんをあんなに焦がれるように見つめてるんだもの。

　きっと

「ご主人様」

　なんて呼ばれでもしたら、どんなふうになるのかしら……？

　っなんて想像したら

　見たい。

　見てみたいじゃない！