「それで、ブルマさんに相談したら、メイドのアルバイトしてみる？　って言ってくれたんです」

　梨子さんはそう言うと、ワゴンに乗っていた最後の料理をテーブルに置いた。

「そうだったんですか。じゃあ、この地球に来て、梨子さんがしたいと思ってたことが出来てよかったですね」

　彼女が喜んでアルバイトをしてることを、嬉しく思っていると　

「でも、最初は街のお店でバイトしようと思ってたんですよ。でも、マコちゃんに、あんたは余計なこと口走りそうだから、この地球でバイトなんてやめろって言われて。そしたら、ブルマさんもそうねって……。でも、したいって食い下がったら、ブルマさんがこの家でバイトするなら問題ないでしょって言ってくれて……。それで、メイドの仕事をすることになったんです」

　梨子さんは拗ねたような、不満気な顔をし

「でも、結局ブルマさんのお世話になっちゃって……。やっぱり街でバイトした方がよかったかなぁって思うんですけど。でも、余計なこと言っちゃいそうだなっていうのは、自分でも自信があるから……。結局、自分一人では何も出来ない自分が、何だか情けないです……」

　次には、落ち込んだように、しょんぼりとした顔を見せた。

　自分の無力さや経験値の低さから、自分が思い描いているように、物事が上手く運ばないことに、苛立ちのようなものを抱いてる梨子さんに、俺もむかし同じような頃があったなと思い出した。

　その記憶が甦り、胸の中に甘く切ない感情が広がるのを感じながら

「事情が、事情ですからね」