「風俗営業の許可？　何だか急に固い話しになったわね」

　ママは、話しがメイド喫茶から逸れそうになるのがつまらないって感じで、すぐに

「で？　梨子ちゃんは、そのメイド喫茶で働いてみたいわけ？」

　わくわくするような目を、俺の後ろに立つ梨子へと向けた。

　そしたら

「えっと、働きたいっていうか……」

　言葉を濁す梨子の横から

「ただ、メイドの恰好したいだけです」

　真琴が呆れたように、そう言った。

「え？　メイドの恰好？」

「そうです。メイド喫茶の制服は、いま梨子が着てるような制服じゃなくて……もっと、こう……スカートが短くて、フリルも付いてて、可愛くてヒラヒラしてるんで」

　真琴の説明で、思ってたメイドの姿とは違う姿が現れ、急に風俗感が増したところで

「へぇ！　そんなカワイイ制服なら、梨子ちゃんが着てみたいのも分かるわ！」

　ママはパッと表情を明るくすると

「そんなカワイイ制服のメイドさんもいいわね！　そうだわ！　試験的に梨子ちゃんの制服だけそういうのにしようかしら？！　ねぇ、どう？　トランクス？」

　ニマニマした笑顔を、急に俺の方に向けてきた。

　急にそんな話しを振られ

　何で俺に聞くんだよ……！

　内心狼狽えながら

「行ってきます」

　そう言って、椅子から立ち上がり、逃げるようにレストランを出ようとすると

「行ってらっしゃいませぇ、ご主人様！」

　後ろから、胸を締め付けるようなセリフが聞こえてきた。