その夜、私は真琴さんの夢の話しのことを考えながら、眠りについた。

　ポメ姫には未来を予知する力があった。

　そのことを思うと、やはり真琴さんの見る夢には、何か意味があるとしか思えない。

　そして、姫が予知の力を発揮する時――。

　それは、いつも良くないことが起きる前触れであった。

　真琴さんの見る夢は、予知夢というわけでもないので、このことは伝えていないが、ビルス様とウイス様には、一応伝えておいた方が良い気がした。

　明日にでも、二人にはお話ししておこう……。

　そう思ったところで、私の意識は眠りの間へと落ちていった。



　夢を見た――。

　懐かしい夢であった。

　暖かい風が吹き、たくさんの花々が揺れている。

　そこは、私が仕えていた、惑星ドギーの城の庭園であった。

　たくさんの樹や花が育てられていた広大な庭園は、ポメ姫様のお気に入りの場所であった。

　その懐かしい庭園に、ポメ姫様が立っておられた。

　思わず「姫！」と呼ぶと、ポメ姫様はこちらを振り向き、何かを仰られた。

　そのお顔は不安そうで、私は咄嗟に姫の方へと駆け出していた。

　しかし、ポメ姫様との距離は縮まらず、逆にどんどん遠ざかって行ってしまう。
　
　私は必死でポメ姫様を追いかけた。

　だが、結局追いつくことは出来ず、気付けば姫様は大きな川の向こう岸に立っておられた。

「ポメ姫様！！」

　向こう岸に届くように、大きな声で姫の名を呼ぶと、姫様は私の方を振り返り

『コッカ―』

　そう名を呼ばれたところで、私は目を覚ました。